気が狂いそうなくらい一気に寒くなった。
静岡だけ氷河期に入ったのかと思った、野菜は取れなくなり、海は凍り、人は細々と暖かくなるのを待ちながら死を待つ生活が来ると思った。
しかし、海は凍ってなかったし、80歳を超えたばあちゃんは畑で野菜を収穫していた。僕の勘違いだった。
「人肌恋しい季節〜」という言葉と一緒にInstagramに写真を加工してしてしてしてしてしまくって、コーヒーの原型がわからなくなるまで加工した写真を載せて「いいね!」を稼ぎまくる、女子大生達が街には溢れ、Twitterの裏垢では「ねえ!私のインスタにいいねして!」と叫んでいる。本当にそれでいいの?それがいいね!なのか?僕は何度も疑問に思いつつインスタのアカウントを持っていないことを申し訳なく思いながらそっとTwitterに「いいね!」を押す。
長いことダラダラTwitterをやってるとありがたいことに女子大生の裏垢と呼ばれる秘密の花園からフォローされることがある。フォローを返す基準は面白そうな人、エロそうな人、タメになりそうな人、女子大生、の僕は迷わずにフォローを返す。中の人が男かもしれないが、ネカマ歴なら絶対に20代の中では負けない自信に満ち溢れているので見分けがつく。その世界を覗くと、僕が知らなかった世界が広がっていて、鍵のかかっていないアカウントでは彼氏とのラブラブな写真を載せ続けているのに、裏垢になると突然20歳以上年上のおじさんとセックスしていたりするからTwitterはやめられない。秘密の花園なんてなかったし、知らないほうが幸せなことが世の中には沢山あることも分かった。人はそうやって大人になっていく。
昨日朝起きてからなんとなくタイムラインを見ていたら知らない顔があった、いつも肌は完全に白く、サングラスをかけた自撮りを載せ続けていた女子大生が居酒屋で撮影されたと思われる″無加工″での自撮りだった。1つの世界の終わりを感じた。完全に別人がいる。佐々木希の画像を開こうとしたら小梅太夫が出てきた時くらいの衝撃だ。冷静になりアカウントを見に行くがアカウントは一緒だった。叫ばずにいられなかった。
「君の名は?」
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