「いらっしゃいませ。本日の日替わりランチはとり天のオイスターソースがけとなっております」
はじめて入ったお店で店員さんが笑顔で案内してくれる。嬉しい。
「じゃあ日替わりランチで」
オイスターソースが何かもよくわからないのに頼んでしまう。手元の便利な端末で調べればわかるのだが調べる気にもならない。もうおまかせしてあるから、好きな本を読んで待ってればいいのだ。大好きなエッセイ集を開きながら待つ。メニュー表に写真があるとイメージが浮かんでいいが、写真がないのも逆にいい。来るまでわからないのでドキドキしながら待つことができる。もしかしたら昔の文通をしてから、はじめて会うときもこんな感じだったのかもしれないな…などと思う。
「おまたせしました」
料理が運ばれてくる。
これがオイスターソースか、イメージしてたものと違うな。と思っても口には出さない。
とり天を口に入れると出来立ての熱さが広がっていく。嬉しい。うん、オイスターソースも悪くないぞ。オイスターソースが美味しいのか、とり天が美味しいのかわからないまま料理を食べ進める。きっとどっちも美味しいんだろうけど。
ご飯もすすむ。大盛りは我慢した。今年は痩せるから。
今朝体重計に乗るとダイエット開始時から3kg増えていたのを思い出した。なんでだろう。考えるけれど思い当たる節しかない。
そもそも食べすぎなんだよな…とか、ご飯の後にお菓子を食べるのは実はよくないことなんじゃないか…とか、思い当たる節がどんどん出てくる。恐ろしい。体重計が壊れているのか?とも考えた。考えたが、サウナの体重計でも3kg太っていて、家の体重計でも3kg太っていたので両方が壊れている可能性も低い気がする。
それにしても今、こんなに美味しいご飯を食べられていて、毎日楽しく幸せに暮らしているのになんで痩せなければならないんだ…と考える。そうだ、モテモテになりたかったのだ。うん、やっぱり痩せなければいけないな。カロリーを気にしたり、運動を頑張らなければいけないな。
自堕落な生活を思い返す。反省していたら食べ終わってしまった。
日替わりランチの食後のコーヒーが運ばれてくる。嬉しい。とりあえずコーヒーに砂糖とミルクを入れる。
2024年、俺は痩せる。のテーマが2024年、俺は痩せる?になりつつある。それでいい気がしてきた。
そもそも2月は寒いから生きてるだけで偉いんだよな、そういうことにしておこう。
今日だけと毎日言って体重を3kg増やす魔法お披露目
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